サステナまいにちを立ち上げた理由(エアムーブ住宅(株) 深川修 社長)

2021.12.01

サステナニュース

「想いは、人へ、環境へ」を長らく経営理念に掲げてきた「エアムーブ住宅」。

地球環境を想った経営やおうちづくりは、最近始めたことではなく、以前から意欲的に取り組んできました。

そんなエアムーブ住宅が、どうして地球環境のことを考え続けてきたのか。なぜ、「サステナまいにち」を立ち上げたのか。新入社員の小林が、深川社長に聞いてみました。

この世にない「エアムーブ工法」誕生のきっかけ

深川 エアムーブ住宅の代名詞ともいえる「エアムーブ工法」。家の周囲に多く存在する自然ネルギーを最大限活用し、夏は日差しを利用し家を冷やし、冬は夜の冷気を利用し昼間に得た暖気で家を暖めることで冷暖房エネルギー消費を抑える工法です。

この工法が誕生したのは今からおよそ30年前、創業10年目ぐらいの時のこと。省エネやパッシブな家づくりと弊社が出会ったのもこの頃だと、創業者の松井会長から聞いています。

当時、寒い部屋を暖めるには相当の熱量が必要でした。快適さを得るために、地球を汚し、お金を使う。それが当たり前だったんですよね。そんな中、高気密・高断熱にすることで熱を逃さず、かつ太陽のエネルギーを使って家のなか全体を暖めることができるという技術が育ち始めていました。この頃、ある通気工法との出会いをきっかけにして、エアムーブ工法の開発に取り組むことに・・・。

その家は、壁の中や天井裏の空気を循環させて夏冬を快適にするという触れ込みでしたが、いざ体験してみると、さほど快適じゃない。そこで、煙を床下で焚いて空気がどんなふうに流れるかを実験してみたら、煙は床下に留まるだけで、空気は全く循環していないことがわかったのです。

「特別な仕掛けがないと空気はそう易々とは動かない」ということをそのとき理解しました。でも残念ながら、それを実現する部材や工法はまだこの世にはなかったのです。ならば自分たちでつくるしかない。こうして、独自技術の開発といういばらの道を突き進むことになったのです。

「エアムーブ工法」の独自開発

深川 空気の流れを変える「逆止弁」をはじめ、当時からの流れで開発されたものは、現在のエアムーブ住宅を構成する部材にもつながっています。金型を起こすところから全て自社で開発してきました。実験に必要な道具を購入し、何度も実験をし、成功と失敗を繰り返しました。機械でシミュレーションするのではなく、身体で実際に体感しながら進めていく。何千万円というお金が掛かりましたが、人や環境への想いが強ければ強いほど、人も知恵もお金も、自然と引き寄せられてくる。そんな状況だったんです。

グッドデザイン賞2012ベスト100受賞

こうして遂にできあがった「エアムーブ工法」は、2012年の「グッドデザイン賞 ベスト100」と「ものづくりデザイン賞」をダブル受賞。本当に嬉しい出来事でした(ちなみにこの年は、「LINE」や「デザインあ」も受賞しています・・・!)

パッシブとは云えど機械式ファンに頼るものが多かったなかで、家の周囲に存在する未活用な太陽熱や冷気を活用しているところに評価が集まったそうです。外界と断絶することなく、むしろつながることで快適な暮らしを実現する。今にもつながる弊社の考え方の基盤です。

「サステナまいにち」を立ち上げたいと思った理由

深川 「サステナビリティ」って聞いて、「ちょっとイメージしづらいな」という人もまだまだ多いですよね。ひと昔前で言う”エコ”とか”エコロジー”と同じように、「サステナ」という言葉が、日々の暮らしのなかで当たり前に語られるようなキーワードになる。そんな社会になってほしいと思うんです。

そんな中で企画が始まった「サステナまいにち」。”環境”に対して思いを持ち続けているフリーランスのコピーライター・ONOBORI3と一緒に立ち上げることとなりました。

サステナブルな社会をつくるとか、脱低炭素社会をつくるとか。地球全体の課題なのは誰もがわかっていながら、なかなか自分ごととして捉えられなかったりしますよね。そんな中でも、ポップな雰囲気を大切にし、日常生活・暮らしの側からの視点でいろいろな情報をお届けしようというのがこの企画のスタンスです。

ちなみに、暮らしのベースにある建物は大きなエネルギー削減対象になっています。住宅業界の排出する温室効果ガスは、今より40%削減しましょうというのが業界の目標です。住宅の低炭素化や省エネルギーに取り組んでいくと、地球温暖化の防止にはものすごく良い影響が出るそうで。であれば、家づくりをしている人間も取り組まなければなりません。

「エアムーブ工法」などの既に実施していることに加えて、「サステナまいにち」もエアムーブ住宅らしいアクションとして楽しみつつ、力を入れていきたいと思います。

家を建てる構造へのこだわり

深川 リサイクルしやすいように設計施工するよう心掛けています。「100年もつ家」を掲げて家を作っていて、主な材料である木、そしてコンクリートも砕けば再生可能です。

また、壁の施工の際に必要なパネルには、地震に強くするための耐力パネルと、ウレタンの断熱パネルを接着剤でくっつけたものを使うのが主流です。しかしこれでは、分離ができないために再生不能となってしまいます。

そのため、私たちはそれぞれをしっかり分離・再生できるようにするため、接着剤を使わず釘を使って留めるような技術で施工しています。

前橋モデルハウスの外観

エアムーブ工法、パネル以外でこだわっていること

深川 県産の木材の使用を推進しています。「家を建てる」という私たちの役割を通して地球環境のために行動することこそが、価値の高いことだと信じています。

地球環境のために”我慢する”一辺倒ではなく、心地良さは担保した上で地球環境に貢献する家づくりを目指しています。

最近気になっていることや課題

深川 建築現場で排出するゴミを、もっと減らせるように努力しなければと感じています。減らすだけでなく、なるべく自然素材、再生可能なものを積極的に使っていくことも同時に取り組みたいですね。

家は小さい方がいい。こんなことも考えています。近年人気の高まっている平家の住宅は、体積が小さいので必要なエネルギーを抑えられます。暖めるのも冷やすのも、掃除をするにしても、電気や人間のエネルギーは従来の2階建てや大きな住宅よりもコンパクトになりますよね。コンパクトな暮らしはサステナに直結です。

「ソラネイロ」という平家の商品も最近開発しました。2階建ての家と比べて屋根が広いのもサステナ。屋根や壁から太陽熱を取り込むおうちなので、屋根が大きければ、より多くの太陽熱を取り入れることができますし、夏の排熱もたくさんできます。床下が大きくなれば、地熱をたくさん取り込めます。家が大きくなればそれだけエレルギーを多く取り込めます。エアムーブ住宅・エアムーブ工法にとっての一番理想的な住まいは、もしかしたら平家なのかもしれません。

最後にひとこと(小林)

エアムーブ住宅は創業40年になる歴史ある会社。歴史をたどっていくと、実現するまでにいくつもの困難や失敗があったといいます。私が想像している以上でした。

夏涼しく、冬暖かく過ごすには、機械でどうにかするものだと考えていました。機械による冷暖房では環境負荷が大きくなり光熱費もかかってしまうものなので、こうしたものの軽減につながるエアムーブ工法は、多くの人に知っていただきたいと改めて感じました。

小林が撮りました!(季ごこちパーク新前橋にて)

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この記事を書いた人

新入社員・小林エアムーブ住宅の新入社員です。よろしくお願いします!

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